スタニスラフ・レム / Stanisław Lem

多様な作品を生みだしてきたレムには,桑全o本 に寄せた評論集(『完全な真空』)と序文集(『虚数』)がある。評論については本誌で紹介された「集団指揮官ルイ16世」(本誌76年3月号)や「新じ、宇宙創造説」の訳があるが,序文についてはまだ翻訳さ れたことがない。

ここに紹介した作品は,2024年にインディアナ. ユニヴァーシティ.プレス社から出版された学術道 『ゴーレム-XIV』に寄せられた,I . T .タリ一 ヴ教授の「まえがき」ということで,『虚数』(73)に収められている —篇である。これには,ほかに「凡 例」,「序文」,「ゴ 一レムの初講演」が入っている。

ところがレムは,ここからさらに構想を発展させ て,新しい連作をはじめた。それが,独立した作品 『ゴーレム-XIV』Golem XIV として昨年の苺 れに出版された。どういうわけかここには「凡例」 と「序文」が削除されているが,新たに「ゴーレム -XIVの講演」と,「まえがき」に名前がでてくる R .ポップ博士の「あとがき」が加わっている。

レムは,21世紀の知的エリ一トやゴーレム.コソ ビュータを作りだした設計者よりはるかに知的水準 が高い機械に声を与え,人間と対話をさせるという 興味ある設定を行っている。この作品は,人間に理 解できる彼の講演だけを選んで編東-したという設足 になっているが,ここでは「まえがき」だけを紹介 した。

おそらくレム!よ,今後も超コンピュータ〈ゴ一レ ム〉シリーズのちがった機種に講演をさせて,新し い作品をふやしていくだろう。(訳者)

 

S-Fマガジン (東京). – 1982. – Vol. 23; No. 10 (291). – P. 20.

 

© 1982 深見弾, текст